ドライスーツ、リストバルブの活用法


   ドライスーツのリストバルブ

 普及がすすみ、標準装備に近くなった、ドライスーツのリストバルブ、あなたはどう使っていますか?
 普通に使うと、ただ排気が2カ所からできるので便利だなって感じだけで終わっているかと思います。
 しかし、うまく活用すればドライスーツはもっと快適になります!
 
 とても寒いときの使い方

 ドライスーツのメインバルブは、オート排気ができるバルブがほとんどだと思いますが、皆さんは
 このバルブを微調整して使っているでしょうか。ある程度のグレードのドライスーツなら、左肩近くの
 バルブはエアーの抜け具合を微調整できるタイプと思いますが、
ほとんどのビギナーダイバーが、
 オープンの状態に全開にして使っているのではないでしょうか。
しかしこんな事を水中で感じませんか?
 
 「あっ、別に抜けなくてもいいのに抜けちゃった。またエアー吸気しないと。」
 ここまで書くと、エアー消費につながるのかと思います?まあ、それもありますが、私が
 気になるのは、
熱の消費です。バルブをオートに回しきった状態だと、意志とは別に内圧の上昇により、
 エアーは抜けていきます。ということは、せっかく体温で暖まった空気が逃げ続けているのと
 同じです。冷たいタンクのエアーを度々吸気すると、その空気は身体の熱を奪い、
 結果、どんどんヒートロスがすすんでしまうため、ハイポサーミアや体力の消耗が激しくなります。

 
つまり、排気と吸気の繰り返しは、空冷作用で体を冷やしているのと同じです。
 
ウエットの寒さはある程度我慢ができる性質のものですが、ドライで底冷えすると、
 我慢ができない類の寒さになってしまいます。それを防ぐためにリストバルブを活用します。

 1 リストバルブは常に全開。
 2 メインバルブは全開の状態から、水温17度くらいなら3クリック戻し。15度以下なら
   半分まで戻し。寒冷下ではロック。体感温度に合わせる。


 こうしておくと、意志に反してエアーが抜けるのが防げて、自分の意志で左手(または右手)
 を上げると、リストバルブから必要なだけ排気されます。スーツからエアーの抜ける回数が
 少なくなり、ヒートロスが防げます。浮力の変化も大きめになりますが、そこは肺のトリミングで
 カバーします。しかし、
メインバルブがロックの時は、プッシュボタンを手動で押して排気しなければ
 吹き上がりの可能性もあります。ご注意ください。


 
インストラクターや経験豊かなダイバーは、上記のような細かな技を使って、より快適に
 冬の海でもダイビングを楽しんでいます。
 参考までに、BCも使用しない作業ダイバーは、オートバルブを使用しません。その理由は、
 1回の潜水時間が2時間を超えることが普通なため、不要なヒートロスを防ぐためと、
 エアーリフトバック等の使用時に、微妙な浮力変化も作業中は起きて欲しくないからです。
 
 注意!

 実行するときは自分の技量をよく考え、バディーやインストラクターに
 必ず意志表示し、安全な範囲でおためしください。



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 監修 アクアラングサービス,
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