イントラの器材選択基準


 ダイビングは器材に依存する行為ですから、器材の性能が直接水中の快適さにつながります。
 インストラクターの器材は、仕事の道具でもありますから、操作性と耐久性がすぐれているのは
 もちろん、プラスαが求められます。実はこの部分がスパイスで、ダイビングの味に差を付けます。
 それではこの”αってなんでしょうか?以下の文章の、太字がαです。

 経験豊富なイントラは、常に最適な器材の組合せを探します。人によっては、ドライの時と
 ウエットの時はフィンを変える、くらいは常識で、カメラを持つときと、持たないときでマスクを
 変えるイントラもいるでしょう。1つの器材が全ての状況に適合できれば理想的なのですが、
 
各メーカーさんは、あんまり細かいことに気がつかないですから、イントラ自身が自分で購入し、
 良さそうな製品は、片っ端から使ってみるか、イントラ同士が情報交換をすることになります。
 

 ダイビング雑誌も器材のレビューは載せますが、広告的なレポートしか
 掲載しませんから、器材評価の役に立つ内容に至らないことがほとんどです。


 マスク
 当たり前ですが、フィット感と使い勝手の良さが重要です。デザイン優先で
 機能が犠牲になっている製品は除外されます。
 イントラは、海辺で自分のスペアマスクを、忘れ物をしたお客さんに
 レンタルすることもありますから、マイナスドライバー1つで分解できて、
 その場で度つきレンズに交換できる構造も便利かもしれません。

 私自身は、ー1,5度程度の度入りマスクは、器材バックに常備しています。
 
 マスクは使用する環境に最適なものをチョイスします。
 潜水作業時はブラックスカートのマスク、レスキューの講習は度付きのマンティス、
 ガイドのときは視界の広い3面マスクと使い分けをすれば快適です。
 マスクストラップは、場合によってはS社のマスクからストラップを外し、G社の
 マスクストラップに付け替える等の工夫もします。
 
(メーカー保証対象外になるので注意!)
 マスクストラップカバーは、便利なアイテムですからストラップにつけましょう。

 マスクストラップカバー
 
 シュノーケル

 S社の000000ー2シュノーケルが一番良いと、私の周囲で活躍するイントラ全員の一致した
 意見ですが、昔のマスク取り付けパーツが出来が良かったので、メーカーに
 日本のダイバー向けに復活させてくれるように頼んであります。
 パイプのジョイント部分が廻転する場合、最適な位置を決めたら、
 タイラップ(別名インシュロック)で固定すると、パーツの紛失やくわえ心地が
 変わってしまうのを防ぐことができます。


 フィン
 ゴムフィンが最適です。プラスチックのフィンを使っているイントラもおりますが、
 
フィンを見ればそのイントラの技量、所属しているショップの経営方針が、おおよそ
 判断できてしまいます。

 レギュレータもそうですが、傷のつきかたで、そのダイバーのダイビングスタイルと
 経験本数はだいたい判断できます。フィンの傷、器材の傷は、そのダイバーを
 物語る
と私は思っています。

 ストラップ式のフィンは、ダイブウエイズ社のフィンストラップフックを必ず装着しますが、
 装着できないストラップのフィンは、加工するかストラップを交換します。
 (メーカー保証対象外になりますから、各自の責任で試してください。)

 フィンストラップフック    
 
 フルフットフィンのフィット感の微調整は、使用するブーツのタイプで調整します。
 素足で微妙にゆるい場合は、ウエットスーツの端切れを足形に切り、中敷きにします。
 厚みのある両面テープ(業界名称リャンガム)で固定すると良いと思います。

 
 BC
 これは非常に重要で、壊れない、エアーが漏れない、排気が最低3カ所からできる
 左右、どちらの手でも排気ができる。が最低条件です。
 壊れない、エアーが漏れないについては、一応の耐用基準は2000本くらいと思います。
 2000本を越えて使用し、新品の性能と変わらなければ一応合格でしょうか。
 排気については体験ダイビングなど、イントラは片手が塞がっていることが多いですから、
 左手でしか排気操作できないBCは困ります。
 カメラや差し棒、スレートを付けるDリングが多いことも大切ですね。
 カラビナは最低3個は必要でしょうか。
 
 sealizer-bc

 タンクを固定するベルトの内側、タンクに当たる箇所に、自転車のタイヤチューブを
 長方形に切り、スーツボンドで貼り付けると具合がいいです。
 
(メーカーさんがこの方法を、「これは盗んでもいいですか?」って言っていました。)
 
 レギュレータ
 チタン性のレギュが耐久性と機械精度にすぐれていて、使用するイントラが増えています。
 レギュは当然機械ですから、車やカメラと同じで、精度の良さは持続する初期性能に
 直接つながります。それはフリーフローのトラブルや、環境からくる性能のばらつきを
 無くすためにも必要な部分ですが、
アトミック以外のアメリカ製や、ヨーロッパ製のレギュは
 かなりそこのところが曖昧な気がするのは、私だけでしょうか。

 
 作業潜水など、汚水に近い状況で潜る場合、一回一回セカンドステージの
 内部を洗浄する必要がありますから、セカンドステージを手で開けられない
 レギュは困ります。

 
 ゲージはあまり目盛りが細かいものは、視認性の点で選択肢から外れます。
 
デジタルゲージ、デジタルコンパスは考えないと判断できない製品が多く、
 とっさの状況判断がしにくい機種もあります。

 細かいところを上げればキリがありませんが、結局、可能な範囲で自分の好みに合わせ、
 カスタマイズするしかないようです。
 逆に言えば、基本性能が優れていれば、もっと自分に使いやすい器材にできる可能性がある
 わけで、そういった部分もイントラが器材を選択する条件かもしれませんね。




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 監修 アクアラングサービス
 
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